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日工組社安研、「パチンコ・パチスロ遊技障害および公営競技における問題ギャンブリング調査研究報告書」を公表

 公益財団法人日工組社会安全研究財団(日工組社安研、椎橋隆幸会長)は8月29日、「パチンコ・パチスロ遊技障害および公営競技における問題ギャンブリング調査研究報告書」を同団体のホームページにて公表した。

 日工組社安研は2013年1月、財団内に精神医学・脳科学・心理学・社会学を専門とする領域横断的な研究者で構成する「パチンコ依存問題研究会」(後に「パチンコ・パチスロ遊技障害研究会」と改称)を発足。パチンコ・パチスロへの過度なのめり込み(パチンコ・パチスロ遊技障害)の実態解明・予防・低減に資する調査研究を実施してきた。

 2017年1月から2月にかけては、全国の18~79歳までの9000人の男女を対象に調査を行い、パチンコ・パチスロ遊技障害のおそれのある人々の人口統計学的数値が、およそ40万人であることを指摘。さらに、この調査結果を活用し、パチンコ・パチスロ遊技障害の低減・予防方策についても研究を続けるなか、新たに調査協力者に期間を置いて質問をする「パネル調査」を実施した。なお、これまでの調査結果は論文にまとめられ、国内外の学術誌に掲載。2021年3月には、同研究会が約8年間におよぶ調査研究を行った成果の概要「パチンコ・パチスロ遊技障害 研究成果最終報告書」をリリースした。

 そして今般、パチンコ・パチスロと公営競技における参加状況等の比較検討を通して、どのような遊び方が世間で依存症と呼ばれる状態に繋がるリスクが高いのかを明らかにするための調査研究を実施。その結果を2025年7月に報告書として取り纏め、8月末にWEBサイトで公表した。

 同調査を実施した背景として、「公営ギャンブルにおけるオンライン化により以前に比べてギャンブルへの参加が簡単かつ手軽になったことや、オンラインカジノ等が注目を集めるようになったことでギャンブルのオンライン化が依存問題の中心課題の1つとなりつつあること」、「パチンコ・パチスロへの参加において街中の至る所にあり“手軽で身近”なことが公営競技よりもギャンブル等依存へ繋がりやすい種目として注目を集めやすい傾向にあったが、インターネットの発達により公営競技もいつでも、どこからでも楽しめる娯楽となったこと」を提示。

 本調査研究は、このような社会状況の変化を踏まえ、パチンコ・パチスロとオンライン化した公営競技との比較検討を行い、どのような遊び方が依存症に繋がるリスクが高いのかを明らかにすることで、その予防や軽減に役立てることを目的に実施された。

 同団体では、「本調査研究の成果が、パチンコ・パチスロ業界はもとより、公営競技も含め、広くギャンブル等依存症の予防や対策を行おうとする団体等にとって、そして社会にとって、有益な資料となれば幸甚」としている。

 

◆「パチンコ・パチスロ遊技障害および公営競技における問題ギャンブリング調査研究報告書」目次(概要)

第1章 本研究の目的と調査概要、第2章 各種ギャンブル等への参加状況(直近1年での趣味・娯楽の行為者率、ギャンブル等の種類別 参加状況、パチンコ・パチスロの遊技状況、公営競技とインターネット投票)、第3章 ギャンブル等の重複(直近1年で参加したギャンブル等の種類数と組み合わせ、ギャンブル等の重複のしかた、【補論】パチンコをしながらの公営競技への参加)、第4章 問題ギャンブリング(問題ギャンブリング疑いがある人の割合と基本属性、ギャンブル等の種類別 問題ギャンブリング、公営競技のインターネット投票と問題ギャンブリング疑い.)、第5章 まとめ

 

◆ピックアップ;「第4章 問題ギャンブリング」の小括

[ギャンブル等全般への参加状況]

・PPDS 得点で判断する場合、全体の8 割以上が問題ギャンブリングの「疑いなし」と判別され、「重度の疑いあり」は6.5%のみであった。

・ロジスティック回帰分析の結果からは、問題ギャンブリングの「重度の疑いあり」と判別される確率が高い基本属性として、男性、年齢が若い人、子どものいる人、扶養家族のいる人、世帯の預貯金がない人が挙げられた。また、直近1 年で参加したギャンブル等の種類数や、全ギャンブル等の参加頻度の高い人ほど、「重度の疑いあり」と判別される確率が高くなっていた。

[各ギャンブル等の種類別 遊技状況]

・種類別で見ると、パチンコ・パチスロと競馬は、ボートレース、競輪、オートレースと比べ相対的に、問題ギャンブリングの「重度の疑いあり」と判別される人の割合が低かった。

・パチンコ・パチスロに限って言えば、特に、「週1回以上」の頻度、1年前に比べて参加時間が「増えた」と自覚している人、「月2 万円以上」の使用額、「月1 万円以上」の負け額 (あるいは 「世帯収入の1%以上」の負け額)といった条件で、問題ギャンブリングの「重度の疑いあり」と判別される確率が高くなっていた。また、「パチンコとパチスロを同じくらいの比率で行うこと」や、来店した際に「半分以上の割合で通常価格台をプレーしていること」もまた、「重度の疑いあり」と判別される確率を上げていた。

・公営競技のオンライン投票に限って言えば、インターネットでの投票券購入の頻度が「増えた」と自覚している人、あるいは、インターネット投票サイトへのアクセス頻度が「月に11 日以上」の人において、問題ギャンブリングの 「重度の疑いあり」と判別される人が多かった。

・パチンコ・パチスロ店におけるインターネットを利用した公営競技への参加については、公営競技への参加頻度が高い人ほど、問題ギャンブリングの「重度の疑いあり」の割合が高くなることがわかった。

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