21世紀会が、プレジデントオンラインの8月17日付の記事≪「パチンコ依存→借金→コンビニ強盗」という悪循環…世界でも類を見ない「ギャンブル大国・日本」という現実 電子ギャンブル機数は米国の5倍、イタリアの10倍以上≫に対して、抗議の姿勢を示していると日遊協の9月定例理事会後の記者会見で報告があった。またこの記事に関しては、脳科学者で公立諏訪東京理科大情報応用工学科教授の篠原菊紀氏も≪これが2023年の記事か!唖然!PRESIDENT ONLINE≫と題したコラムで苦言を呈している。
そのプレジデントオンラインの記事では「ビッグイシュー基金」の冊子内容が引用されている。まずもって「ビッグイシュー基金」とは何なのか。「ビッグイシュー基金」のホームページでは、その理念・ビジョンについて『ホームレスの人たちを中心に困窮者の生活自立応援、ホームレス問題解決のネットワークづくりと政策提案、ボランティア活動と市民参加の3つの事業を柱に、各種のプログラムを通じて、貧困問題の解決と、「誰にでも居場所と出番のある包摂社会」の形成を目指します』と説明している。
ここがなぜ、パチンコ・パチスロ依存に繋がるのか。ホームレスになった原因にギャンブル依存があるという流れのようだが、このビッグイシュー基金が2015年に『疑似カジノ化している日本――ギャンブル依存症はどういうかたちの社会問題か?』と題した冊子を発刊している。またこれをブラッシュアップした形のものとして、2018年10月15日には『新版 疑似カジノ化している日本――ギャンブル障害を乗り越える社会へ』という冊子を発刊している。
2015年の冊子はダウンロードすることができないのだが、後者に関してはダウンロードで内容を確認できる。その目次には「過度のギャンブルは精神の病である~衝動制御障害から病的ギャンブルへ」「ギャンブル障害が世界に突出する国・日本~有病割合おし上げるパチンコ」「人口28人に一台。日本全体がカジノ化~世界のギャンブル機の6割が日本に」「売上21.6兆円、ネット売上3.24兆円~パチンコ産業の経済規模」「EGM開発。ギャンブル障害を誘発するマシン設計~変わるカジノ、その収益の85%がEGMに」「ギャンブル障害の医学的な考え方~EGMのデザインと人間への影響」「“薄められた賭博”が依存症を多発~パチンコ産業の歴史と法律的・行政的な位置」「パチンコは“依存症ビジネス”~4つの対策的課題」「スイス賭博法、“入場停止”の規制も~停止者5万4000人、理由の78%はスロット」「消費者保護へのパチンコ機の安全規制~所轄は警察庁から消費者庁へ」「われわれの当面の目標~調査および政策研究とセーフティネットの連携・強化」とある。
2018年版ということで、引用されているデータがそもそも古いものであるのだが、これが正しい情報として、いまだにメディアやジャーナリストを標ぼうする人々、ライターに用いられているのが実情だ。シークエンス11月号では、≪ギャンブル等依存に関する誤報道を考える≫をハシラに、同冊子のパチンコ・パチスロに関連する内容についてわかりやすくまとめている。
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