一般社団法人日本遊技関連事業協会（日遊協、西村拓郎会長）は6月9日、東京都新宿区のハイアットリージェンシー東京で第36回通常総会を開催。正会員数255社のうち207社の出席（出席89社・委任状提出118社）で総会は成立した。

　なお、上程された議案はすべて原案通り承認。総会では、第3号議案「役員選任に関する件」で阿施浩行氏（NEXUS）、東野昌一氏（平成観光）、新井宏明氏（ニューギン）、平井興宣氏（日本ゲームカード）の4人を新理事として選任した。

　西村会長はあいさつの冒頭、「会長という重責を担うことになってから丸5年を迎えた。この5年を振り返ると、業界が一体となる方向へと進んでいるのを感じる。そういった機運の中で、今年初めて我々の業界から国政に候補者を送り出すことになった」と述べ、「業界が疲弊し店舗数含めてシュリンクしていくなか、この流れを止めなければならない。そのためには我々業界自らがしっかりと襟を正して、国民、国政に対して産業の存在意義をアピールする、そういった姿勢がますます必要になってくる」との考えを示した。

　また、参加人口の減少に触れ、「我々も少子高齢化、インバウンド需要などの背景を鑑み、次の世代にバトンタッチしていくためにしっかりと頭を切り替えて、遊技機の試験制度からホール営業に至るまで、さまざまな仕組みを持続可能な方向に変えていかなければいけない。全体的な構造改革を視野に、皆で業界の在り方について真摯に議論を重ねていきたい」と、一丸となっての対応を呼び掛けた。

　また当日は、来賓として警察庁生活安全局保安課の永山貴大課長が講話。今回も昨年同様、極めて簡潔な内容に終始した。

　まず、一昨年以降に策定した各種ガイドラインについて、「適切な運用および内容の拡充に努めているものと承知している」としつつ、「こうした業界の自主的な取り組みがしっかりと機能することによって、営業の健全化が図られることはもとより、業界全体に対する世間のイメージの向上にもつながる」との認識を示し、引き続いての取り組み推進を要請した。

　次に、のめり込み・依存の問題について、オンラインカジノが大きな社会問題となっている最中、3月にギャンブル等依存症対策推進基本計画が改訂され大きな注目を集めていることに触れ、変更後の基本計画で掲げた目標を達成することができるよう、各種取り組みにおけるより一層の推進を求めたほか、自己申告・家族申告プログラムについて「今後は特に店舗を直接訪れない申告者の家族等の利用拡大や店舗間の適切な情報共有など、同プログラムの実効性の確保がより一層重要となる」と指摘。こうした点に主眼を置いた取り組み強化を要請した。

　加えて、業界による社会貢献活動を「地域住民の安全・安心に寄与する取り組み」と位置づけ、「こうした取り組みの積み重ねが業界の社会的地位の向上にも資するものである」との考えを示し、継続推進に期待した。

　また、総会終了後には全日本遊技産業政治連盟による活動報告が行われた。

総会後に記者会見を開催

　総会開催に伴い実施された記者会見では、新たに理事に就任した4名のうち、欠席者を除く3名があいさつに立ち、阿施新理事は「業界に携わる期間約40年、その経験を以て西村会長を支え、与えられた使命を果たし、遊技業界の発展に寄与していきたい」とコメント。中部支部の支部長就任を機に1年ぶりの役員復帰となる東野新理事は、遊技業界における横断的組織の大切さに触れつつ、「非常に今、業界が厳しい。その中で、少しでも協会そして業界の役に立てれば」と述べ、業界活動に意欲を見せた。

　また、プリペイドシステムをはじめ、ホール営業を下支えする各種事業を手掛ける日本ゲームカードの平井新理事は「システムを利用するファンの利便性をさらに向上させ、顧客満足を高めていく。日遊協ひいては遊技業界の役に立てるよう、今後とも努力していきたい」と業に照らして抱負を述べた。

　質疑応答では、令和7年度の重点推進事項に関する問いに対し、西村会長が回答。時代に呼応した対応について、「キャッシュレスや景品のデジタル化なども含めて、全体的にデジタル化を進めていくことは、時代の要請として必要。今後、より具体的検討を進めていきたい」との見解を示したほか、今回の行政講話について感想を聞かれ、「新たなことではなく、これまで取り組んで生きた路線を踏まえて取り組みを強化・推進し、きっちり対応することを求められたと思う」と述べた。

　なお当日は懇親会も催され、会員企業の交流を促した。

（ヘッダー写真）記者会見の様子
（フッター写真）左から、西村会長、永山課長