ダイコク電機(名古屋市中村区)は7月7日、「DK-SIS白書2022年版‐2021年データ‐」の刊行記者発表会を開催。今回も新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から「Zoom」を用いたオンライン開催とした。DK-SIS白書は、2004年の創刊から今回で19冊目の発刊となる。
DK-SISとは、同社が提供する情報戦略システム。現在、遊技機台数で144万台強と市場の約37%のデータを保有し、遊技業界がどのように動いているのかを実績データで見ることができる。
当日は、代表取締役社長の大上誠一郎氏が主催者あいさつに立ち、「業界では新規則機市場に突入して約5か月が経過した。足元では4円パチンコの業績が上を向きつつある一方、20円パチスロは相変わらず低迷が続いている。この結果、パチスロの低迷をパチンコで補う構図がはっきりと表れており、4円パチンコがDK-SIS集計史上最も辛い遊技時間粗利で推移する状況にある」と現状を俯瞰。「ただ苦戦しているパチスロについては今後、6.5号機やスマートパチスロで規制緩和の流れが見えていることから、この先、業界全体が本格的に上向くためには、パチスロが規制緩和をきっかけに本来の遊技の面白さを取り戻し、4円パチンコに依存した構図から脱却することが肝要だと考えている」と展望した。
またDK-SIS白書については、2004年の創刊から19冊目であると示した上で、「実は今回のようなパチンコに頼った状況は、2008年のDK-SIS白書に記載されている4号機から5号機への移行の際に起こった構図に似ている。今後の戦略を決定する際、過去のデータを参考にすることも重要になってくる。本日発表する2022年版DK-SIS白書は今後もホール営業において適正な判断を下すうえで必ず役に立てるものと確信している」と自信を窺わせた。
続き、DK-SIS室室長の片瀬宏之氏が、記者発表資料をもとに白書の概要説明を行った。
冒頭、業界のビッグデータとして存在するSISデータについて、「遊技機設置台数に関しては2020年の400万台から21年は381万台と、コロナ禍での閉店などにより減少しているが、SISの有効データ台数はパチンコ約87万台、パチスロ約53万台のトータル約140万台となっており、台数シェア率は36.8%まで上昇している」とコメント。これは会員企業が生き残りに向けて健闘している結果であると分析した。
その後、「DK-SIS白書2022年版」の業界キーワードとして以下の4つを掲示した。
まず、「新規則機への完全移行、パチンコとパチスロで入れ替え進捗・業績推移が異なる(21年、パチンコの方が早かった)」と提示。次に「業界総売上・総粗利は昨年から横這い、コロナ禍前の7割強にとどまる」との項目を挙げ、2020年は緊急事態宣言での休業があったことと比較して21年はなかったものの、閉店があったことで横ばいという結果になったと要因を示した。
次いで、「13年ぶりに4円パチンコの業績が前年を上回る、4円パチンコへの粗利依存が過去最高となる」とし、「4号機から5号機への移行があり、完全5号機時代となった2008年の動きと類似している」と指摘。また当時、アウトと粗利に関して4円パチンコの業績は一端上がったが、そこから12年間業績は落ちていき、13年目にやっと良化したデータを示したうえで、「2021年は遊技時間粗利が1年で100円上昇しているが、1年で100円上昇しているのは2007年から08年のデータ以来。その後、パチンコの業績が低下していっていることを頭に入れた対応が肝要で、広く警鐘を鳴らす必要がある」と呼び掛けた。
最後に「パチスロ業績が過去最低に、6号機の不振が続く」と示し、2021年に急激に6号機に入れ替えた結果さらにパチスロの業績が落ちていると、パチスロの深刻な状況を指摘した。ただ、「パチスロの未来がないかというと、そうではない」と強調。7月に出てきた6.5号機(カバネリ、アクエリオン、犬夜叉)にユーザーが関心を持っているとし、「まだ3日しか経過していないが、初動のアウト支持率が3機種とも300%を超えている。パチスロも今後期待が持てる可能性がある。スマスロに関しては、さらに出玉性能に関しても向上の可能性があるため今後注目していきたい」と展望した。加えて、パチスロの業績が良くなることでパチンコの遊技時間粗利を抑え、業界全体が良くなっていくことに期待を寄せた。
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