パチンコメーカー39社で構成される日本遊技機工業組合(日工組、榎本善紀理事長)は1月24日、昨年6月から「パチンコ業界の未来創造」を目的に大正大学表現学部の中島和哉准教授のゼミと連携し、学生たちと業界の集客向上を考えるプロジェクトを実施した旨、報告した。連携は2回目となる。
参加したのは、広告代理店などに就職を希望する同大学の女子大生10名(3年生)で、学生の大半はパチンコ未経験者。今回のプロジェクトには前回の大正大学とのプロジェクトに賛同した静岡県のホール企業アシベ商事が参画。集客向上を考えるモデル店として、学生の業界研究のために自社店舗を開放するなど、プロジェクトに協力した。
昨年6月8日・9日の2日間、学生たちはアシベ商事が運営する「ハッピーアシベ伊豆高原店」を視察。パチンコ遊技を体験したほか、アシベ商事の担当者から遊技業界の現状や課題などについて説明を受けた。その後、伊豆高原の観光地や、伊東市役所を訪問。集客向上につながるノウハウの知見を深めた。また12月22日には、学生たちが今回のプロジェクトの集大成として、6月の「ハッピーアシベ伊豆高原店」視察をもとに大正大学内で「『ハッピーアシベ伊豆高原店』の集客向上プロモーション」の施策をA班・B班2チームに分かれて発表。アシベ商事の松本竜彦総務部部長と、鈴木優アミューズメント事業部副主任も学生の提案に熱心に耳を傾けた。
日工組では、「学生との共同プロジェクトを通して、若年層が抱く業界のイメージや問題点、さらに新規ユーザー獲得のための若者に刺さる効果的な施策を具体的に知ることができた。今回得た知見は、遊技人口の減少が問題視されている遊技業界にとって、課題解決の一助となる可能性がある」とし、引き続き、さまざまな取り組みを通じて業界を盛り上げていくとしている。
≪発表された施策概要≫
【A班】
A班は伊東市の若年層(20歳~35歳)が、市の人口に対してたった9%と極端に少ないことに着目。これは市内に大学や専門学校がなく、若者が高校卒業後に首都圏に出て行ってしまうからで、今後、地元住民にフォーカスしても大きな集客は見込めないと判断。そこで着目したのが訪日外国人観光客の取り込みだ。北米最大のアニメイベント「ANIME EXPO 2017」で「パチンコ・パチスロブース」が出展された際、来場者の91%が「日本に来たらパチンコ・パチスロをやってみたい」と回答。外国人に人気の高いアニメとのタイアップ機も多いことから、集客向上のターゲットとして訪日外国人を選んだ。具体的な施策案としては、「初心者向け解説動画・ガイドブックの外国語対応」「外国語表記の遊技機の開発」「観光ガイドブックへの掲載」などを挙げた。また、おもてなしとして、人気漫画のコスプレをしたスタッフの派遣や、外国人観光客向けの景品の用意なども提案した。
【B班】
B班はパチンコ体験時に感じた業界に対する課題として、「若者に刺さる台がない」「台のデザインが男性向き」「専門用語が多く初心者には分からない」など、パチンコ初心者にとってのハードルの高さを挙げた。「ハッピーアシベ伊豆高原店」は客層の大半が年配客であり、今後を見据えると地元の若年層への訴求と訪日外国人観光客の取り込みが必須課題と提案。「地元住民に利益還元」をコンセプトに、若年層と地域住民がパチンコとの接点を図る「パチンコ無料開放キャンペーン」の実施を推奨した。これは、6月のパチンコ体験の際に、学生たちが「パチンコの楽しみ方が分かればハマる可能性はある」と感じたことからの起案で、SNSよりもパチンコ体験をして接触機会を増やすことが集客向上の一番の施策と感じての提案だった。
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