日本電動式遊技機工業協同組合(日電協、兼次民喜理事長)は6月8日、東京都千代田区のパレスホテル東京で第43回通常総会を開催。任期満了に伴う役員改選において、小林友也筆頭副理事長が新理事長に就任。兼次理事長は相談役に就任した。
総会の冒頭、兼次理事長はあいさつで「今年は役員改選の年であり、自身も70歳になる節目の年にあたる。里見理事長時代に3期6年、佐野理事長の時代にも2期4年、副理事長を務めた。そして理事長に就任してから2期4年と、都合14年、あっという間の14年だった」と、組合活動を回顧。また、市況についても「特に6年前の規則改正時から、その後すぐにコロナが始まり、我々メーカーもホールも含めて大変な時期を迎えた。特にパチスロは鳴かず飛ばずの状況だった。しかしながら、色んな人々の助力、行政の理解も得ながら、昨年11月、無事にスマスロもデビューすることができ、一つの節目かなと思っている」と市況を俯瞰した後、「小林理事長を筆頭に、若返った執行部の今後の活躍を見守っていきたい」と語った。
総会後の記者会見では、小林新理事長が抱負を述べた。今後、尽力していきたいことについては、大きく3点あるとし、まず1つ目に「スマスロのさらなる推進」を掲げ、昨年11月にスマスロ初号機を発売し、4月末までの約半年間で延べ約17万台の販売を達成した旨、報告。パチスロ設置台数は5月末現在で、約140万台であり、内訳はAタイプが40万台、ATタイプが約100万台となり、ATタイプの約17%がスマスロに入れ替わったことになると説明し、「今後もスマスロ導入を推進することで、3年から5年程度でパチスロの大半をスマート化していき、ホールの経費削減、ホール従業員の負担軽減、スマスロ化による騒音対策など、遊技業界に貢献していきたいと考えている」と述べた。
また2つ目には「スリープユーザー・ノンユーザーへの訴求」を提示。遊技人口が近年減少傾向にあり、昨年のデータによると720万人と出ていることに触れ、「スリープユーザー・ノンユーザーにもパチスロで遊んでもらいたい。彼らに楽しんでもらえるパチスロを開発できる環境を整えるとともに、日工組が中心になり行っている広報活動にも全面的に協力し、既存ユーザーはもちろん、スリープユーザー・ノンユーザーへの訴求を進めていきたい」と、思いを語った。
最後に3つ目にとして、「中古機流通のさらなる健全化と適正運用」を提示。脱コロナに向け社会は動きつつあるが、いまだウクライナ問題も相まって、燃料費の高騰、人件費の上昇、物価の高騰など厳しい状況が続いていると現状を俯瞰。遊技業界においても同じ状況にあると述べ、「特に中古機流通において、人件費の上昇、物価の高騰などが大きく圧し掛かり、悲鳴の声が多数あがっている」と憂慮。また、中古機に頼らなければならないホールが少なくないことや、中古機流通に携わる遊技機メーカー、販売会社においてもホールと同様に厳しい状況が続いていることを挙げ、「中古機流通に関しては、先駆者が知恵を絞り素晴らしい制度を作り上げてきたことは十分承知しているが、遊技業界の現状を鑑みて、ホール、販売会社、遊技機メーカーが知恵を出し合い、さらなる健全化と時代に適した運用をするために議論をしながら進めていきたい」と呼び掛けた。
また、現状を踏まえた今後の展望について、「6.5号機、スマスロで販売台数は増加傾向にあるが、一方、ノーマルタイプにおいては先の規則改正で出玉が3分の2になり、大変苦しい状況が続いている」と指摘。今後については、ノーマルタイプの状況次第ではあるが、パチスロ全体としては上向きになっていくと考えていると述べた。
なおノーマルタイプについては、「毎年行っているプレイヤー調査によると、ボーナス獲得枚数に不満を持っているユーザーが4割以上おり、一方で、シンプルで分かりやすい、目押しや出目、メダル持ちの良さなど、ATとの差別化を評価しているユーザーも一定量いる。また休止者がパチスロを止めた理由として、遊び方が複雑になったことやゲーム性の複雑さなどを挙げている」と説明。「シンプルで遊びやすく、ある程度の出玉が感じられる遊戯性を持った遊技機としていくことにより、既存ユーザーはもとより、スリープユーザーにも参加してもらえる遊技機開発を目指していきたい」と伝えた。
このほか、「スマスロ北斗の拳」の好調の要因に関する質問に対しては、里見治紀副理事長が回答。大きく3つの要因があるとし、1つは兼次理事長のもと業界一丸となって実現した規則改正による影響、もう1つは、このスペックであれば「スマスロ北斗の拳」で初代の魅力を再現できるという点と中高年をターゲットにしたPRによりスリープユーザーの呼び戻しにつながったとコメント。3つ目には、ホールが高めの設定で営業してくれており、顧客への還元が進んだという「ホールの協力」を挙げた。
日電協における令和5年度の事業方針では、「遊技産業を取り巻く状況に適応した遊技機の開発と環境整備」として、スマートパチスロの普及、自主規制の運用の厳格化と見直し、依存問題に対する取り組みの強化、知的財産の保護と適正な運用管理、規則改正に向けたコンセンサスの醸成の5項目を掲示したほか、「健全化・セキュリティ対策の推進」「その他の啓発活動」(メーカーとホール、ファンを結ぶプロモーションの実施等)を掲示。令和4年度の日電協証紙発給枚数は、55万1637枚と、前年比11.7%のプラスとなった。
【新役員】(敬称略)
理事長/小林友也
副理事長/里見治紀、大泉秀治、信田裕一郎
専務理事/飯島久司
常務理事/鶴見雅男
監事/湯澤 哲、佐野詳一(新任)
相談役/里見 治、佐野慎一、兼次民喜
(写真)ヘッダー:新役員 フッター(左から)小林友也新理事長、兼次民喜理事長、里見治紀副理事長
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