CRSVとは、企業の競争戦略論の第一人者として知られるアメリカの経営学者、マイケル・ポーター米ハーバード大学教授が提唱したCSV(Creating Shared Value;共有価値の創出=経営戦略の1つとして本業に即した形で社会的課題を解決する取組みを行っていくべきだとする考え方)を踏まえて、中小企業庁が2014年の中小企業白書で提示し、2015年の白書でその事例を紹介したもの。
「CRSV(Creatingand Realizing Shared Value)」という概念で、新たな概念というよりはCSVの中で地域の社会的課題の解決に特化したものに対し、中小企業庁が新たなカテゴリーを用意したとでもいうべきだろう。
白書では、「中小企業が地域課題の解決に自らの事業として取り組み、持続的な事業活動を行うことは、CSVを真に実現していくという意味でCRSVだ」とし、「この地域課題の中に眠っている地域住民の隠れたニーズは、決して大きなビジネスにつながるわけではない。しかし、課題解決による地域活性化と時代とともに変容していくニーズの変化への対応を着実に行っていけば、中小企業・小規模事業者は、顔の見える信頼関係という強みを活かして、大企業に負けずに、当該ニーズに基づく事業を続けていくことができる。その意味で、中小企業・小規模事業者、とりわけ地域需要志向型の事業者にとってCRSVは地域でこれからも事業者が持続的に生き抜いていくための生きる道といえる」と総括。今後、行政や中小企業支援機関はこのような取り組みを行う企業に対し、積極的に支援していくべきとのスタンスを示した。
地域密着の事業を行うパチンコホールがCSVを考える際に参考になる概念といえる。
(氷室あずさ)
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