アウトだけでは見えてこない「エヴァ15」の凄さ
「P新世紀エヴァンゲリオン15 未来への咆哮」(以下「エヴァ15」)が登場2週目を終えて絶好調の稼働を見せていることは周知の通りである。ただ、あくまで本レポートは平均アウトという視点ではなく、プレイヤーによる「遊ばれ方」を分析するものであるため、アウトの高さに囚われずにいつもの通り分析を進めていきたい。
<実・遊技時間平均が70分台という脅威的数値を記録>
他の遊技機を寄せ付けない「エヴァ15」の遊ばれ方の最大の特徴は、なんと言っても「実・遊技時間平均」が70分台を記録している点にある。これは「Pフィーバー機動戦士ガンダムユニコーンb」(以下「ユニコーン」)が登場週に記録した49.2分、2週目に記録した50.2分、さらに年末の超話題機種であった「Pぱちんこ乃木坂46KJ2」(以下「乃木坂」)が登場週に記録した63.2分、2週目に記録した53.5分と比較しても圧倒的な水準に位置している。本コーナーでご紹介している遊ばれ方データを振り返っても、実・遊技時間平均が70分台に達している機種は確認できない。「エヴァ15」の遊ばれ方は明らかに2021年にリリースされたすべての機種を凌駕しており、空き台に座ったからには1時間以上(70分程度)遊ぶことが当たり前という状況になっている。
これは、プレイヤーの実・遊技時間比率にも表れており、「エヴァ15」においては60分以上遊技する長時間遊技者の比率は40%超。「ユニコーン」登場週の25.7%や「乃木坂」登場週の36.6%を大きく上回っている。「長時間遊ぶプレイヤーの比率が非常に高い」というのが「エヴァ15」の遊ばれ方を象徴する表現と言えるだろう。
<なぜ、これほど長時間遊技者が多いのか?>
このような事実を踏まえて解明すべきは、「エヴァ15」プレイヤーがこれほど長時間遊ぶ理由である。当該機遊技経験者へのアンケート調査を行えばそれらしい結果を得ることができるだろうが、現段階の仮説として筆者は「新機構の発射装置」の影響が大きいのではないかと見ている。2021年に様々なゲーム性の機種が登場して、その一部は大人気を博したが、それでも実・遊技時間平均が70分台に達した機種はない。ともすれば50分に達していない機種が週間アウトのトップとなるケースも散見されてきた。どう考えても特異な今回の現象を生む理由として、「版権」「演出」「ゲーム性」「スペック」「ギミック動作」などの多少の違いを挙げるにはどうにも違和感がある。それだけに「当該機にしかないもの」として「新機構の発射装置」を指摘せざるを得ないのである。
無論、この点についてもプレイヤーの評価や反応は別途検証する必要はあるが、このような「新機構」の搭載が遊技時間を延ばすことに効果を生むことが確認されれば、今後は各メーカーにおいて同様のコンセプトで「新機構」の研究が進むかもしれない。つまり、「似通った機能を研ぎ澄ます」よりも「思い切って(これまで)無かったものを搭載する」という発想だ。特に、滅多に動作しないギミックなどよりも、常に使うことになる発射装置のようなものであるほどプレイヤーはその斬新さを常時実感することができ、結果として「もう少し遊びたい」という欲求を掻き立てるというフローが成立している可能性がある。
まだ、2週間のデータに過ぎないが「エヴァ15」におけるプレイヤーによる「新しい遊ばれ方」は引き続き検証する価値がある。
(集計・監修)ワールド・ワイズ・ジャパン市場調査部 https://www.world-wise.jp
(データ提供)SUNTAC株式会社 システム横断型業界統計サービス TRYSEM https://www.suntac.jp/
(補足1)本レポートにおける稼働データはSUNTAC社「TRYSEM」の週間客数データを使用
(補足2)1人あたりアウト構成比(%)= 1人あたり平均アウト / 機種平均アウト × 100 :1人のプレイヤーが占める平均アウトへの影響を確認するための指標。多くのプレイヤーにより機種平均アウトが形成されている場合、1人あたりアウト構成比は低くなり、対象機種での遊技をやめた場合の機種平均アウトへの影響が少ないため安定感がある。
(補足3)本レポートにおける稼働安定度指標(パチンコ・1人あたりアウト構成比)=11%以下:盤石、11%〜13%未満:安定、13%〜15%未満:やや安定、15%〜17%未満:やや不安定、17%以上:不安定
ASOBARE20220105
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