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やはり、「遊びやすさ」が好感された今秋の「甘デジ」市場 <機種別遊ばれ方レポート10月30日号>

やはり、「遊びやすさ」が好感された今秋の「甘デジ」市場 ~「ウルトラマン」「タイガーマスク」も「乗物娘」には及ばず~

 10月6日に投稿したレポートで、9月21日週リリースの4機種の甘デジについて、導入週終了時点でのそれぞれの遊ばれ方を集計してご紹介した。今回は、その後リリースされた「甘デジ」最新機種の動向も踏まえて、今秋の「甘デジ」市場の動向のまとめとしておく。

 今回も集計対象機種はすべて「甘デジ」となっており、先発組として9月21日にリリースされた「PA乗物娘N-K YT200」(以下「乗物娘」)、「PA FAIRY TAIL2 JWA」(以下「FAIRY TAIL」)、「PモンキーターンV GC250A」(以下「モンキーターン」)「PA遠山の金さん2 遠山桜と華の密偵JWD」(以下「金さん」)の他、後発組として10月4日リリースの「PAぱちんこウルトラ6兄弟A5」(以下、「ウルトラ6兄弟」)、「PフィーバータイガーマスクW Y」(以下「タイガーマスク)」、10月18日リリースの「P JAWS3 L1YU1Y」(以下「ジョーズ」)の全7機種を対象としている。

 今回のレポートにおいて使用したデータは例によって文末に一括掲載している。なお、アウトが8,000個を下回った時点で本レポートでは集計対象外としている。

<アウトは後発組も「乗物娘」に届かず>

 まず、アウトの推移を確認すると、登場週から5週目までの期間において「乗物娘」がトップを独走。後発組には「319ミドル」などで支持の高いタイトルの「甘デジ」バージョンも含まれていたが、いずれも「乗物娘」のアウトには届いていない。また、「乗物娘」のアウトに届いていない6機種の中から、本レポート執筆段階で登場1週目の「ジョーズ」を除けば、いいずれもそれほど大きな平均アウトの差は生じておらず、似通った動きをしていることが分かる。つまり、今秋の「甘デジ」市場は「乗物娘」と「それ以外」という「色分け」が成されたという状況となった。このような「色分け」が成された背景については、10月5日号のレポートに示した仮説は、今回も成立した。つまり、後発組3機種の「勝ち率」は「ウルトラ6兄弟」が3週平均で22.5%、「タイガーマスク」が同じく34.2%、「ジョーズ」が1週のみの実績だが30.5%となっており、「乗物娘」の39.6%(5週平均)に大きく遅れをとっている。集計対象7機種の中では「乗物娘」が他の6機種を寄せ付けない最も勝ちやすい機種としての存在感を示しており、その結果がアウトの推移として表面化しているのであろう。

<「勝ち額」が小さいことが甘デジファンに許容された>

 一般的には「勝ち率」が高くなれば「勝ち額」を低くしないことには帳尻が合わない。ただ、元来「勝ち額」が低めな「甘デジ」において、どこまでこれが許容されるのかという問題は存在する。「勝ち額」の推移グラフをご覧いただくと、「乗物娘」ただ1機種が5,000円前後を推移していることを理解できる。「金さん」「ウルトラ6兄弟」は10,000円オーバー、その他は8,000円前後というのが現状である。「乗物娘」が思い切った「勝ち額」の低さを選択していることがお分かり頂けるだろう。

<60分以上遊技割合の高さは「甘デジ」では重要でない可能性>

 長時間遊んでくれるプレイヤーが多い機種ほど、その業績は良さそうに思えるが、今秋の「甘デジ」においてはそのような状況にない。「60分以上遊技割合」は「FAIRY TAIL」「モンキーターン」だが、いずれもアウトでは「乗物娘」に大きく差を付けられている。アウトが好調な「乗物娘」は7機種の中ではほぼ中団に位置していることを踏まえれば、「甘デジ」における60分以上遊技割合の高さを必要以上に重視することは、間違った判断に繋がる可能性があると言える。

<稼働安定度は3週目に「不安定」に>

 9月21日週リリースの4機種の「甘デジ」の中で、「乗物娘」を除く3機種は3週目で「1人あたりアウト構成比」は17%オーバーとなり、稼働安定度は「C(不安定)」となった。9月21日の3週間後とは後発組の3機種のうち「ウルトラ6兄弟」「タイガーマスク」が最新機種としてリリースされた週でもあり、2週目時点でかろうじて「B+(やや安定)」を維持していた「FAIRY TAIL」「金さん」は、2週目時点ですでに「C(不安定)」まで安定度を落としていた「モンキーターン」と共に後発の最新機種の登場により稼働の安定感を一気に失ったことになる。

 ただ、この「ウルトラ6兄弟」「タイガーマスク」も2週目には「B+(やや安定)」となり、10月18日週には「ジョーズ」に登場により「ウルトラ6兄弟」は「C(不安定)、「タイガーマスク」は「Bー(やや不安定)」まで稼働安定度評価をダウンさせている。

 これらの結果は、今回の集計対象機種が「3週毎に主要な同スペックの最新機種がリリースされる」というサイクルにあることも影響してか、稼働安定度が3週目に「C(不安定)」になるという顕著な傾向を示唆している。平たく言えば「3週後の後続機種に客を持っていかれる」。

 しかしながらアウト平均で7機種の中でトップとなっている「乗物娘」は、3週目終了時点での安定度が「B+(やや安定)」をキープ、5週目でやっと「C(不安定)」に達するという粘りを見せている。また「C(不安定)」ではありながらもその値は17.4%と、他の機種が5週目において20%オーバーを記録している中では良好な部類に位置しており、アウト平均の高さを裏付けるものとなった。

<まとめ>

 一般論にはなるが、新商品は既存商品よりも消費者の購買意欲をそそる。遊技機も、後発の最新機種の客(アウト)を奪われるのは当然のことだが、それでも優れた遊技機は繰り返される後発機種の攻勢を跳ね返しながら、顧客を維持し続ける。集計対象7機種の中で最も好調な「乗物娘」は、「勝ち率の高さ」を軸としてこの結果を生んでおり、これは今秋の「甘デジ」ファンの指向性を示すものと判断してよいと結論付けたい。

(集計・監修)ワールド・ワイズ・ジャパン市場調査部 https://www.world-wise.jp (データ提供)SUNTAC株式会社 システム横断型業界統計サービス TRYSEM https://www.suntac.jp/

(補足1)本レポートにおける稼働データはSUNTAC社「TRYSEM」の週間客数データを使用

(補足2)1人あたりアウト構成比(%)= 1人あたり平均アウト / 機種平均アウト × 100 :1人のプレイヤーが占める平均アウトへの影響を確認するための指標。多くのプレイヤーにより機種平均アウトが形成されている場合、1人あたりアウト構成比は低くなり、対象機種での遊技をやめた場合の機種平均アウトへの影響が少ないため安定感がある。

(補足3)本レポートにおける稼働安定度指標(パチンコ・1人あたりアウト構成比)=11%以下:盤石、11%〜13%未満:安定、13%〜15%未満:やや安定、15%〜17%未満:やや不安定、17%以上:不安定

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