Re:モンチッチャイ行進曲

<Re:モンチッチャイ行進曲>「パチスロ5号機ARTへの警察庁スタンス 」(2006年11月10日)

「パチスロ5号機ARTへの警察庁スタンス 」 (2006年11月10日) 初代編集長 三浦健一

 パチスロ5号機のART。AT+RT機能のアシストリプレイタイム機。最初にこれを作って型式適合させたのがサミーの「ボンバーマン」。次に「スパイダーマン」。先に書き込んだヤーマ「ジャックと豆の木」、アリストクラートの「怪胴王」(爆裂王)もARTで、他メーカーもこのART機をいくつか申請している。サミーはすでにART第三弾の機種を適合させて持っているようだが、これがアリスト以上の・・・・・とか。

 5号機は新規則により射幸性が極度に押さえ込まれた。その規格の中でいかに売上げが上げられるような差玉の出るものを、というのでARTが出てきた。ARが付かない5号機だと、設定6での出玉率は106〜108%だが、ARTだと119%、あるいは120%以上が稼げる。ふつうの1.3倍の純増枚数(1ゲーム200枚)で、パチスロ攻略雑誌などはこれをさらに大袈裟に煽り立てているところもある。
 釈迦に説法みたいになるがご容赦いただきたい。これはRTの特定の終了図柄をわざと外させることで、自力でRTを継続させるもの。終了契機にたとえば終了図柄の小役チェリーを外して、ブランク絵柄を狙う。それでRTが継続。この継続をサブ基板から信号で送り、通常30Gで終了のものがサブ基板でストックされ、10回までは外してやることができる。これで出玉率が上がって次のボーナス突入率を引き上げる。つまりRTの時間が長くなり、現状維持かもしくは増えるRTになり、プレーヤーにとっても有利。ということにはなるのだが。

 ただ、出玉率が110%を超えると客に設定を見破られるというマイナス面もある。また技術介入度も高くなるので客を選ぶ。出る台はおそらく出っ放しになるだろう。しかし過去のパチンコのように「打ち止め」はパチスロでは出来ない。規則改正による射幸性抑制の趣旨から外れて、手軽に安く遊べる5号機から逸脱しかねない、これがエスカレートするのではないかというのが警察庁の危惧するところ。
 もうひとつ問題視していることがある。液晶表示通りに打たせて、わざと別の小役で継続を確定させている。これが「偶然」なのか「故意」なのかということ。いわば保通協のシミュレーション試験を逃れるような方法で継続性を作りあげているというのが警察庁の捉え方。検査時と均一性・同一性を有するものでなければいけないのに、市場に出てからそれを逸脱した連チャン機能にまでエスカレートしては困るというのが見解だろうと思われる。過去の「獣王」からエスカレートしていった爆裂機の二の舞は絶対に避けたいわけだ。このART機能はパチンコにおけるかつての「時短」に似ている。時短はあくまでオマケの機能であり、次回大当たりをサポートしてあげるだけのものだった。この時短をメインにして連チャンさせるとは何事か、で行政の厳しい指導が入った。RTはその時短と同じだ。

 「遊技の公正さを害する」疑いがある。このため、先の保通協試験では1週間で4機種がこの「疑い」だけで不適合になっている。試験の「抜け道」(?)を防ぐため、出玉試験は若い検査員に液晶の表示通りに、手打ちで打たせて検査。「わざと外させている」と疑わしき機種については不適合にしているようだ。

(二代目編集長オカザキ註)

 5号機は後に本格的なART問題が勃発し、サブARTからメインARTへとシフトしたり高射幸性とかがあって結局強烈な差枚数が出る機種があったということになるわけですが、この記事の時期では「メーカーは4号機ほどとは言わなくても差枚数が出る性能を作りたい」「警察庁はそれはされたくない」というせめぎ合いの時期だったと思います。2004年の規則改正で5号機となったわけですが、このときの技術上の規格の記述はA(ナビのこと)機能についての規制は全くなく、出玉率規制やシミュレーション試験規制などによって相対的にやり過ぎができにくくなるような規制体系となっていました。この点は完全確率にせずにA(R)Tの発動の仕組みを自由にできることが担保されていたのでパチスロとしては良いことだったですが、相対的な規制だったからか、警察庁とのせめぎ合いはじわじわ面倒なこともあったようです。
 ただ、あまりこの当時のせめぎ合いのことは覚えておりません。同年(2006年)は警察庁が業界を強く指導した上での「手軽に安く遊べるパチンコ・パチスロキャンペーン」の展開年でした。同年10月21日、22日には池袋サンシャインシティにて合同展示会を開催しております。そもそもこのキャンペーンの名付け親も警察庁の課長補佐です。業界が持っていたキャンペーンの名称案を見て「もっと具体的に『手軽に安く遊べる』というような文言を入れるべきだ」と課長補佐が嫌事を言いまして、既に業界の名称案でパンフレットのデザインも作っていたにも関わらず、鶴の一声よろしくキャンペーンの名称までそのままこうなりました。
 そんな展示会直後の時期が記事の時期となります。このせめぎ合いがずっと続くのが業界レートと言いますか警察庁レートと言いますか。
 記事にて機種名が出てる中では一番遊技したのはスパイダーマンですね、私は。設置台数も多かったのでどこに行っても遊技することができた機種です。ただ、後の5号機市場の盛況を予感させてくれたのはひょっとしたらジャック5(ジャックと豆の木)だったかもしれません。私はジャック5はほとんど打ってませんが。いずれにせよ、5号機の特にA機能を持っている機種がまだまだ苦しい時期だっただけに、業界と警察庁とのせめぎ合いが影響していたのかもしれません。

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