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注意したいスポーツベッティングの動き

4月下旬、複数のメディアが日本におけるスポーツベッティングの動きを、英紙フィナンシャル・タイムズの報道として取り上げた。これらによると、日本政府がJリーグとプロ野球へのスポーツベッティングを2024年にも合法化するために検討を行っているという。また合法化された場合、サッカーと野球を合わせて年間推定650億ドル、日本円で7兆円を超える規模の市場が生まれるとのこと。さらに政府内では、長年スポーツベッティングに対する抵抗感は強かったが、コロナ禍によるプロスポーツ界への影響が大きいことから、容認する機運が高まっているとした。

スポーツベッティングは、Jリーグの試合結果を対象にしたスポーツ振興くじとは異なり、1試合もしくは複数の試合の勝敗やスコア、得点者などを予想し的中させるもの。ブックメーカーのサイトを使って賭けるスタイルで、PCやスマホを用いてオンラインでいつでもどこからでも気軽に賭けに参加することができる。

このスポーツベッティングに関しては、巨人戦リアル予想ゲーム「イニングキング」の登場から日本における実現の可能性を話題にする知人が増えたし、日本人のスポーツへの関心の高さなどからその可能性や、税収面での期待に言及する記事なども確認されるようになった。

517日にはサンスポ.comが、自民党スポーツ立国調査会のスポーツビジネス小委員会がスポーツ産業の成長に向けた提言を取りまとめ、スポーツを対象にお金を賭けて予想するスポーツベッティングなどの検討を政府に求めることを盛り込んだと伝え、その後スポーツ庁は528日に、同小委員会メンバーが永岡文部科学副大臣を訪問し、提言を渡したことを発表している。

国内におけるレジャーの多様化がパチンコ・パチスロ参加人口の減少を招いた平成を経て、令和では、これまでとは違った方向、つまりギャンブルや射幸性を伴う娯楽のグローバル化が遊技産業の土台を脅かすことになるのだろうか。

しかし、賭博のグローバリゼーションは歓迎すべきことなのだろうか?市井の娯楽であるパチンコ・パチスロというささやかな射幸性を伴う娯楽が根付いてきた日本において、インバウンドが期待される(とPRされている)日本版IR以外、賭博は競馬や競輪・競艇など既存の公営ギャンブルと高額過ぎない宝くじ程度で十分な気もする。

逆に、青天井でいつでもどこからでも賭けられる賭博の種類が増えることになれば、韓国で青少年のオンライン賭博への参加増が問題視されているように依存問題の本丸はそちらに移ることになる。ただ、そうなれば射幸性が制限されているパチンコ・パチスロという庶民の娯楽に関する文化・産業としての価値が見直されるかもしれないが

ともあれスポーツベッティングの実現はまだ先のことだと思われるが、その動向には留意しておきたい。

(氷室あずさ)

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