社会的認知の向上を目指して WEB版

CSVの延長線上にあるSDGs

 私がこれまで、遊技業界の社会的認知の(質の)向上に資する取り組みとして取り上げてきたCSRやCSV、CRSVというものについて、その主体はあくまでも企業や産業であった。しかしながら、SDGsの主体には個人も含まれている。つまり、SDGsを語る際には、どの視点からのアプローチなのかを明確化する必要がある。
 ちなみに、個人でできるSDGsへのアプローチは、国連の「ナマケモノにもできるアクション・ガイド」に4つのレベル別で記されているので、気になる方は参照いただきたい。
とにかく、個人と企業のスタンスを混同すると、それこそ取り組みの位置付けが分からなくなってくる。
 では、企業にとってSDGsへの取り組みとは何なのか?まず、CSRとSDGsは何が違うのか。CSRは「企業として存在意義が問われ続ける中で社会的責任を果たすべく、普遍的に取り組んでいくもの」、SDGsは「2016年から30年までの国際目標として掲げられるなか、これに取り組むことで企業の経営をさらに強くするもの」と捉えるのが分かりやすい。さらに分かりやすいものとして、SDGs先進企業トップの見解や専門とする識者やコンサルタントの見解を集約すると、次のような捉え方を挙げることができる。
 「CSR(Corporate Social Responsibility;企業の社会的責任)の取り組みは、企業が消費者や従業員、取引先、株主などのステークホルダーや地域社会から信頼を得るための社会貢献活動。社会からの信頼を得ることで企業の成長や競争力強化を目指すが、これが企業の持続的な成長につながり、サスティナブル社会の実現に貢献する。他方、SDGsの取り組みは、持続可能な社会を実現するための企業活動であり、CSRは企業がその活動自体で利益を上げるものではないのに対してSDGsはビジネスを通して社会問題を解決する。つまり、CSRが社会をよくするためのボランティアなのに対して、SDGsはビジネスを用いて社会をよくしようという考え方である」。つまり、CSV(Creating Shared Value;共有価値の創出)の概念に繋がっている。
 CSVについては3回目のコラムで概要を記しているが、企業の競争戦略論の第一人者として知られるアメリカの経営学者、マイケル・ポーター米ハーバード大学教授が提唱した概念で、CSRの概念をビジネスの視点で見直し、「経営戦略の1つとして本業に即した形で社会的課題を解決する取組みを行っていくべきだ」とするものだ。
簡潔にいえば、CSR活動を持続可能な取り組みになさしめるのがCSVであり、SDGsに向けた取り組みそのものは、この延長線上にあると言っても過言ではないだろう。確かに、国連グローバル・コンパクトは「企業はまず責任を持ってビジネスを行い、次にビジネスの革新とコラボレーションを通じて社会的課題を解決する機会を追求すること」を求めている。
このように企業としてのSDGsへの取り組みを捉えた場合、自社の社会に向けた取り組みがCSRなのかSDGsに根差したものなのかが明確になってくる。

(氷室あずさ)

 

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