諸元表による点検整備 (2004年12月29日) 初代編集長 三浦健一
新潟アイビー企画の営業許可取消ホールのうち、15店舗が同社オーナーの親族会社が受け皿で営業許可申請していたが、25日までに15店舗の許可を公安委員会がおろした。ええ加減にしなさい。なお、警察がまず、不正改造などで摘発する。そのあと国税、公安にそのホールのデータを提供し、問題があれば、国税もしくは公安が動く。そのなかには北朝鮮送金ルートもある。来年はこの連携捜査がさらに徹底されるはずである。ターゲットは総連系のホールに集中する。真面目に営業していればなにも問題ない。毅然としてればいいだけの話だが。
新基準機でメーカーが打ち出した「諸元表により点検整備」が、これからは規定の事実になってしまう。納入後の釘調整はメーカーは行なわないが、ヘソの命釘は整備ということで若干の調整することは出来る。が、命釘の開け閉めだけでゲージを生かせるわけではない。大事なのはフロックなど道釘の調整だ。これは経験と技術が必要であり、これを生かせないホールはどんな機種を導入しても失敗する。機械を短命に終わらせ、入替による経費負担に苦しむ悪循環に陥るしかない。
メーカーも裏では一部顧客ホールの釘を触っているのが現状だが、警視庁などは、釘の検査に大量のゲージ棒を調達して、検定機の検査を行なっているようだ。ホールも「調整」という言い方はタブーになる。あくまで「諸元表による点検整備」だ。メーカーが発行する取扱説明書がその「諸元表」の証明書の役割を有することになる。
なんだかなぁ、庶民の娯楽に警察権限の介入もここまで進化してしまったわけである。射幸性の行き過ぎの結末である。週間ポストで溝口敦さんが『パチンコ「30兆円の闇」』の連載をスタート。宝島社が企画していたパチンコ暴露本で編集チームのリーダーで取材を進めていたが、企画は中止。週間ポストにそのペンを移動させた。この溝口さん、ジャーナリスト各賞を総なめしたベテランライターだ。週間現代での連載で「ハンナン」の浅田さんを追い詰めた人。タブーに切り込んで、これが浅田さん逮捕の前哨戦にもなった。その人のパチンコ産業への切り込みだ。パチンコフルスペック新基準機にも、このまま独走を許せば切り込んでくるはずである。景品問題にも。さらに警察・保通協・OB政治家の利権なども溝口さんのペン先を魅了するネタではある。
これ以上書くとまた「長過ぎる」と言われそうなので、次回に譲る。
<二代目編集長オカザキ註>
いきなりアイビー企画という名前が出てくるあたり三浦らしい記事ですね。あの、厳密なことを言うと「親族会社」ではなくて「元親族会社」と言うべき会社だったと記憶しております。たしかオーナーの奥さまのご兄弟が社長だったと思いますし、摘発された前後にたしか離婚されていたんじゃなかったっけ。まあ、しかし「親族会社」という認識が業界だけじゃなく警察にもあったそうです。某警察官僚の方がこの新会社での営業許可申請に対して許可した件について言ってましたね。「手続きがちゃんとしてたら我々は許可しないといけない」と。当たり前ですね、許認可というのはそういうものです。っと、許可しないといけないのは警察庁(国家公安委側)ではなくて警察本部(都道府県警察本部)ですからこの場合は警察庁というよりも新潟県警の話であるべきですが。
諸元表による点検整備という言葉はちと記憶にないですが、2004年のこの頃は爆裂機問題のような問題がぱちんこに生じるかもしれない、という懸念を日工組が持っていた時期なんです。日工組は2004年7月施行の規則に合わせて内規を改定していましたが、その内規が499内規ですからね。確変の規制を完全撤廃しMLTS499まで可能となれば、爆裂性能が出てもおかしくはないわけです。また、実際に差玉データなどの流布案件を警察庁がいくつも現認しており日工組的にはエクスキューズに忙しい時期を過ごしておりました。まだ新規則機登場から1〜2か月ほどしか経過してなかったこの時期ですが、警察庁の目は相変わらず鋭かったです。差玉データ現認をしたいくつかの機種について型式試験の試射試験データを警察庁が再確認し、このようなデータが出てしまう可能性が低いことを掴んでおります。警察庁は公には言ってませんが、当時日工組に対して「爆裂機はサブ基板が犯人だった。ぱちんこはサブ基板で出玉性能を変えられない。釘だな、これは」と無言の圧をかけていたと理解されております。
日工組がこのときとった対応が、わかりやすくいえば「過去、現在、未来も、我々(ぱちんこメーカー)は釘調整をしておりません」というものでした。ここからメーカーが開店釘を叩くことはなくなっていきます。そのスタートが「諸元表による点検整備」ということなんでしょうか。なお、このときの警察庁の無言の圧力は後に遊技くぎ問題として全く別の形で表面化してしまいますがそれはまだまだ先のこと。そういえば、警察庁の今の小田部生活安全局長は諸元表を検定制度に事実上導入したときの業界担当課長補佐だそうでして「諸元表の小田部」と呼ばれていたという話を聞いたことがあります。
溝口さんの宝島の企画時代のときに三浦と溝口さんってたしか呑んでたか何かで仲良くしてたはずです。決起集会のような呑み会だったのか純粋に企画会議だったのか、そのような話を実際に三浦から聞いたことがありますね。また、週刊ポストの企画連載になってからは実際にこの連載に私も何度もコメントを提供しました。取材の編集者は溝口さんとは別のTさんと言う人で、とにかく楽しい人でしたね。ポストから文春専属になり今はフリーランスになっているNさんや今や遊技日本を発行する責任者でもある遊産研鈴木さんらと新宿でよく呑みました。Tさんはとにかくゴールデン街がお好きでして、よく二人でも行きました。コメントを提供するというよりもTさんに誘われて二人で呑みに行くというのがとても多かったです。タブーに切り込んだ、というのは少なくともぱちんこ業界においては少々大袈裟でして、ハンナンの件の連載と比較すれば言葉は悪いですが「軽い」内容です。ただし、どんな形であれ、一生懸命にあんな有名なジャーナリストが取り上げてくれたというのは、私としては歓迎すべきことでした。でも溝口さんと言えば、やっぱり暴力団関係の記事が一番好きです、私は。
で、この頃ちょくちょく出てくる「長すぎる」ということに対するエクスキューズ的な記述。「長い」と言われて気にしていたんでしょうけれど、これは私も経験があります。基本的には私は「嫌なら読むな」です。長いと言われることもありますが「短い」と言われることもあります。「難しい・わかりにくい」と言われることもあります。私はとくに長い短いは気にせず、できるだけ冗長にならないように気を付けておりますが、常に冗長な稿になることが多いですね。当時の三浦のように私も気にした方がいいのかもしれません。呑みながらその良し悪しを考えてみようと思っております。
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