外務省や国連の資料によると、SDGsは2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs=Millennium Development Goals:)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された“2016年から2030年までの国際目標”だ。
なお、MDGsは2001年に国連で策定。2000年に採択された「国連ミレニアム宣言」と1990年代の主要な国際会議で採択された国際開発目標を統合したもので、発展途上国向けの開発目標として、2015年を期限とする8つの目標 (①貧困・飢餓、②初等教育、③女性、④乳幼児、⑤妊産婦、⑥疾病、⑦環境、⑧連帯)を設定し、課題を残しつつも一定の成果を達成した。
SDGsは、先進国を含む国際社会全体の開発目標として、持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っている。このSDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであることから、日本(政府)としても積極的に取り組み、現在は民間企業での着手も進みつつある。
このSDGsの推進と広く一般への浸透に向けた本気度が窺えるピーアール手法が、ピコ太郎への外務省からのオファーだ。2017年2月、外務省はピコ太郎にSDGsのPRを依頼。ピコ太郎は決め台詞の「ペンパイナッポーアッポーペン」を、SDGsを意味する「サステナブル ディベロップメント ゴールズ」と早口言葉のように言うのが印象に残る「PPAP」の替歌を作り、7月に動画を公開。さらに岸田文雄外相(当時)の依頼により、7月17日に国連本部で開かれる会合に合わせた政府主催のレセプションでSDGsの替歌を披露した。このほか、吉本芸人による分かりやすいSDGsの開発目標のピーアールも行っている。
SDGsとCSRやCSVの位置付けがよく分からない部分もあるだろうが、CSRやCSVは、これまでもこれからも企業が社会的責任を果たすべく継続的に取り組まれるものであり、SDGsは今後のサスティナブル社会に向けた“チャレンジ”と位置付ければ分かりやすいのではなかろうか。
いずれにせよ、遊技業界が持続可能な成長に向けて取り組むべきは、「産業・企業として社会に対し何ができるか」に他ならない。とりわけ、社会課題の解決に向けた取り組みは世間の理解も得やすく、産業・企業の存在意義を分かりやすく強化してくれる。
ちなみに、SDGsの持続可能な世界を実現するための17のゴールは次の通り。
「目標1(貧困)あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」
「目標2(飢餓)飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」
「目標3(保健)あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」
「目標4(教育)すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する」
「目標5(ジェンダー)ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」
「目標6(水・衛生)すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」
「目標7(エネルギー)すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」
「目標8(経済成長と雇用)包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」
「目標9(インフラ、産業化、イノベーション)強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」
「目標10(不平等)各国内及び各国間の不平等を是正する」
「目標11(持続可能な都市)包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」
「目標12(持続可能な生産と消費)持続可能な生産消費形態を確保する」
「目標13(気候変動)気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」
「目標14(海洋資源)持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」
「目標15(陸上資源)陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」
「目標16(平和)持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する」
「目標17(実施手段)持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」。
(氷室あずさ)
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