「高須クリニック」は「うまい棒」に続けるのか?
「P yes!高須クリニックCS2」(以下、「高須クリニック」)が2月7日週にデビューして1週間の遊ばれ方データが出たので、取り急ぎレポートしておく。例によって参照データは、SUNTACが提供するTRYSEMの週間客数データを使用。
アウトは「Pうまい棒4500から10500V1」(以下、「うまい棒」)の登場週と比較するとやや低いスタートとなっているが、これは「高須クリニック」のリリース週に「Pルパン三世12H1AZ2」「Pひぐらしのなく頃に〜彩〜FM-N」が同時にリリースされている影響が少なからずあるものと考えられ、やむを得ないとみるべきだろう。しかしながら、客数データからは「高須クリニック」と「うまい棒」の間には大きな違いがあるのでご紹介しておきたい。
両者の登場週における「実・遊技時間平均」(プレイヤーそれぞれが実際に遊技した時間の平均)は、「高須クリニック」が35.9分、「うまい棒」が36.0分となっており、ほぼ同等となっているのだが、その内訳に大きな違いが出ている。具体的には「高須クリニック」の登場週において、「15分以内遊技者割合」は当該機遊技者全体の35.1%に達しており、「うまい棒」の登場週の同項目の26.0%を9.1ポイント上回っている。「15分以内遊技者」が多いということは、2〜3,000円ですぐにやめてしまうプレイヤーがそれだけ多いという意味であり、遊技機評価上の指標としてはネガティブなものとなる。
過去6ヶ月の間にリリースされた新機種の登場週における「15分以内遊技者割合」が35%を超えた機種は「Pピンクレディー9YU1」(2021年11月8日週、40.9%)と「高須クリニック」の2機種のみとなっており、役物系の新機種は「15分以内遊技者割合」が高めに出る傾向があるとはいえ、少々懸念されるデータと言える。「高須クリニック」はご承知の通り、面白味のある役物によりデジタルの始動口に玉が運ばれる仕組みになっている。一方で、大当たり確率が約1/36.9と発表されていることから、当然、通常の一種のような頻度ではデジタルは回らない。役物のクセや寝かせの問題もあるとは思われるが、そもそもプレイヤーが「役物を楽しむ」ための前提は、NOB代表の石川忍氏の言葉を借りれば「一定のスタートが担保されていること」ということであり(注:シークエンスチャンネルvol.16 「Pうまい棒ヒットの隠された理由と、2022年パチンコ新機種への期待」におけるコメント)、平たく言えば「ある程度(デジタルが)回るから役物を楽しめる」ということだろう。
また、TRYSEMのデータによると「高須クリニック」の登場週の「台粗利」は2万円に達しており、粗利率は33.3%にまで達している。この点も加味すると、プレイヤーが役物の面白さを十分に堪能できない状態でスタートしたことになる。「当たれば韋駄天」とも言われているだけに、ホール側も慎重な運用になると思われるが、登場週データを見る限り、もう少しプレイヤーが役物を楽しめるような状態になれなければ、新規性に溢れるこの最新機種が十分に魅力を発揮できずに終わる危険性があることをデータは示唆している。
(集計・監修)ワールド・ワイズ・ジャパン市場調査部 https://www.world-wise.jp
(データ提供)SUNTAC株式会社 システム横断型業界統計サービス TRYSEM https://www.suntac.jp/
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